表情と筆致に、人物の内面が表れる。『霧(ウラル)』表紙|装画=合田里美

霧(ウラル)

 

出版=小学館文庫
著=桜木紫乃
装画=合田里美
装丁=岡本歌織

 

『霧(ウラル)』表紙イラストレーションについて

装画賞の印象が強く、合田里美さんの絵と言えば「横顔」を思い浮かべますが、今回のイラストレーションでは正面(カメラ目線?)の人物画です。

横顔のときは、「見据える」というニュアンスを感じ取りました。

今回の正面向きの顔からは、儚そうな、語りかけるような、でも助けを求めるのとも違う、人物の内側にある屈託が表されているような感じがします。

人物の顔の向きで、与える印象が変わるというのは構図の学びになります。

合田里美さんの絵のもうひとつ魅力的な技法は、「抜きの白」です。

服のしわ、そして髪の毛の流れ。合田里美さんの絵では、これらはよく白く抜かれる形で表現されます。

とても繊細に描かれた抜きの線により、絵に独特のリズムが生まれている感じがします。

特に髪の毛の線は、太さが一定すぎるとへたくそなデジタル画のように機械的な印象になりますし、線画交わりすぎると髪の流れがとても汚いものに見えたりします。
太すぎず細すぎず、また一本一本の強弱も大切にしながら、髪の毛に美しい流れをつくるように丁寧に線が引かれています。

こういった仕事の丁寧さは、本当に真似しなくてはいけないと猛省します。

霧 (小学館文庫)

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