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イラストレーションって何だろう。
マンガやアートとどう違うの?
これから絵の技術を学ぼうとしている人が「イラストレーション」という言葉に出会ったとき、上記のような疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。
この記事ではイラストレーションの言葉の定義を考察していきます。
「イラストレーション」とは?
wikipeiaによると、
イラストレーション(英: 仏: 独: illustration,中: 挿画)とは図像によって物語、小説、詩などを描写もしくは装飾し、また科学・報道などの文字情報を補助する、形式よりも題材に主眼を置いた図形的もしくは絵画的な視覚化表現である。
(引用元:wikipedia)
とあります。すこしわかりづらいですね。
要は、「すでにあるコンテンツを装飾する絵や図形のこと」です。
より重要な説明がこの後に続きます。
イラストレーションは情報を伝達する媒体の1つであり、目的に沿って作成される絵や図像であり、情報の図解という性格を持つ。
(引用元:wikipedia)
作家自身の世界を一貫して追求する芸術・美術とは性質が異なっている。
(引用元:wikipedia)
「イラストレーションは自己表現ではない」ということを言っているのですね。
また、イラストレーションの由来となるillustrateという英単語の意味は下記です。
1.〔例示や比較などで〕~を説明[解説]する
2.〔~を説明する〕良い例となる
3.〔本などに〕挿絵[イラスト]を入れる
(引用元:英辞郎 on the web)
3番目に「挿絵を入れる」という意味が出てきますが、1・2ともに「説明する」「説明のための例となる」であり、「説明」のニュアンスが強い言葉だとわかります。
このような語源から考えても、イラストレーションとは何かを説明したり装飾したりするために用いる絵や図版のこと、と言えそうです。
絵そのものとは別の目的を持ち、他のコンテンツを説明・装飾するために用いられる絵・図版のこと。
アートとは違うの?
アートは、その絵自身が目的です。
描くひとの自己表現であり、見るひとの心を絵自身の魅力で楽しませたり豊かにさせたりすることがねらいとなります。
これに対しイラストレーションは、絵自身の外に目的を持ち、別のコンテンツの説明や装飾をすることがねらいとなる絵のことです。
イラストレーションが活躍するシーンを考えると上記にも納得がいきます。
● 本の表紙(装画) ⇒目的:①本のプロモーション ②内容の装飾
● 文章の挿し絵(装画) ⇒目的:①内容の説明・装飾 ②文章に目を留まらせる
● ポスターなどの広告 ⇒目的:①広告主の商品のプロモーションやブランディング
いずれも、絵そのもの以外の目的のために絵が用いられていることがわかります。
「アートにおいては、絵そのものが目的である」
「イラストレーションにおいては、絵は手段である」
と言い換えることもできそうです。
ただし、垣根はあいまい
しかし現代において、アート・イラストレーション・マンガ…そういった絵のカテゴリはあいまいです。
実際に、アーティストやマンガ家がイラストレーションを担当する例も、その逆も、枚挙にいとまがありません。
マンガ家がイラストレーションを担当する例:
> 生々しいのに、かわいらしい。『みっつめのボールのようなことば。』表紙イラストレーション|装画=松本大洋
> アニメタッチの現代的人物描画。『なめらかな世界と、その敵』装画=赤坂アカ
アーティストがイラストレーションを担当する例:
> 表紙に色がひしめく!『森があふれる』表紙イラストレーション|装画=大小島真木
イラストレーターがマンガを描く例:
> 僕の姉ちゃん (幻冬舎文庫)(著:益田ミリ)
イラストレーターが画集を出す例:
> 見惚れずに最後まで見ることなんてできない!画集『木内達朗作品集』|著・装画=木内達朗
イラストレーターが絵本を出す例:
> わたしのこねこ (福音館の科学シリーズ)(著:あずみ虫)
目的に応じた絵なら、イラストレーターの絵でなくてもよいのは合理的です。
また、イラストレーターが絵本やマンガ等の創作に領域を拡げる姿も近年よく見かけます。
アート・イラストレーション・マンガ…といったカテゴライズは、境界がはっきりと壁のようなもので区分されているのではなく、グラデーションとして理解するのが適切です。現代において、その境界は一足でひょいと超えられるものになっています。
逆を言えば、どのような絵のタイプ(絵柄)であっても、目的にかないさえすればイラストレーションと呼べるということですね。
まとめ:イラストレーションとは
イラストレーションとは、絵そのものとは別の目的を持ち、他のコンテンツを説明・装飾するために用いられる絵・図版のこと。
便宜上、アートやマンガと区分され、それらと目的を異にするものではあるが、目的がかないさえすればどのような絵でもイラストレーションになりうる。
いかがでしょうか。
これからイラストレーションの勉強をされる方、イラストレーションが好きで深く知ってみたい方にとって納得のいく説明になっていればうれしいです。
以下の記事では、イラストレーションのコンペティションにおける講評から、イラストレーションの本質を考察しています。
ぜひあわせてお読みください。