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画集『木内達朗作品集』
◆出版=玄光社
◆著・装画=木内達朗
◆装丁=大島依提亜
この作品集を手にした人は、内蔵されるイラストレーションの量と密度に驚くことになります。
ページ数311ページ!
掲載作品数500超!!
その大ボリュームが1冊に収まっていることにも、それが1人の人間が行った仕事の「それでもまだ一部」であることにも、驚きを抑えることができません。
量の次に驚くのは、イラストレーションの「多様性」です。
写実に近い絵もあれば、大変グラフィカルな絵もある。
具体的なシーンを描いた絵もあれば、コンセプティブな絵もある。
景色の絵もあれば、人物の絵もある。
デジタル作品が中心だけれど、油彩の絵もある。
かわいい絵もあれば、かっこいい絵もある。
静の絵もあれば、動の絵もある。
ペインティングの絵もあれば、線画を取り入れた絵もある。
突然一部がモザイクになった絵が出てきて驚いたりもする。
・・・・。
ひとつの作品集のなかで、多様性がさまざまな軸で展開されています。これまた、「一人の人間のそれでもまだ一部の仕事」であることに驚くひとつとなります。
木内達朗さんのイラストレーションでは、たしかによくつかわれる技法もあり、過去に行われたいくつかのインタビューではそれらについて触れられることも多くあります。たとえば、版画の版ズレを再現したような表現。たとえば、白い粉が散ったような手描きのかすれを再現した表現。
でもそれは、この膨大な作品を見るにあたっては些末な話に思えます。
いち手法の話だからです。
木内達朗さんがこれだけ多くの作品を、ひとつひとつに前回との「異なり」を混ぜながら生み出し続けてきたことには、「絵に対する魂」を感じてしまいます。
木内達朗さんのそんな「魂」は、絵だけでなく言葉でも表されています。
それでも、やっぱり動かない平面である一枚絵に戻ってきました。そして今では、一枚絵が何よりも好きだと言えます。
この本は、約28年間イラストレーターとして描いてきた絵の一部を集めたものです。そういう意味では、ほとんどが人のために描いたイラストレーションであり、その都度何をどう描くのがベストか呻吟しながら産み落とした絵ですが、楽しんでもらえれば幸いです。
(「まえがき」より引用)
「絵が何よりも好きだ」と飾らぬ言葉で語っています。
またその一方、「呻吟しながら産み落とした」とも言うのです。
木内達朗さんほど活躍されて超絶技術を持ったプロ中のプロイラストレーターでも、「今なお絵が好きで、毎回苦しみながら作品を産んでいる」というのです。
これは後進にとって、勇気にもなり、モデルともすべき姿勢ではないでしょうか。
言葉と絵にしっかり芯が通っていることが作品集から伝わってきて、涙が出そうになります。
そんな精神論のようなもので作品集の「感想」が閉じようとしています。
これはセールスにつながるのでしょうか・・・つながらないかもしれません。
しかし、この作品集が単なる「ベスト盤」ではないということが、この感想文から伝われば幸いです。
(いつか、内蔵される作品たちについて、感想文を追加したいと思います。)
ぜひこの分厚く高密度な作品集を手に取ってみてください。
感涙必至です。今すぐにお取り寄せを!
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