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◆出版=角川春樹事務所
◆著=群ようこ
◆装画=樋口モエ
◆装丁=アルビレオ
群ようこエッセイ2作 装画イラストレーションの感想
身もだえするほどかわいいですね!
猫はイラストレーションの世界でも人気のモチーフですね。
猫を専門あるいは得意領域とする装画家・イラストレーターも多くいます。
当サイトでは以前ヒグチユウコさんを取り上げさせていただきました。
猫は猫自体がとてもかわいいので、イラストレーションでさらにかわいくするというのがすごく難しいように感じてしまいます。
ですが、樋口モエさんの描くこの2匹の猫たちはとてもかわいい。
表情の「無」な感じがゆるかわで、猫が生来持つ他人事感というか、気まぐれな人間に対して「猫っぽい」と形容するときのような、性格としての猫っぽさが表れています。飄々と自分のペースで生きている感じ・・・と言うのは偏見でしょうか(猫に対する)?
無の表情と書いたのですが、不思議なことにそれは無表情とか無感情ということとはだいぶ違うのですよね。
飄々とした猫の表情のなかには、不思議と人間らしい情操が見え隠れするようなのです。
なぜだろう。やわらかくあたたかい絵のタッチがそれを成しているような気はするのですが。
そして、イラストレーションとしてつよくうらやましくなるのが「ポーズ」ですね。
「プチ擬人化」とでも呼びたくなるような、猫としての顔・体を持つ猫が、人間らしい動作をしている(それも「無」の表情で)のが、たまらなくかわいい!
何もかも放棄してうつぶせる猫(無の表情)。
無造作感あふれる様でボーリングの球を放る猫(無の表情)。
猫が実際にはとらないポーズ。それは人減の仕草。
それを猫の姿のままの猫にしてもらうことで、コミカルなおかしさが生まれている感じがします。
無造作とか無の表情とか、「無」という言葉を多用して装画のレビューをしてきましたが、描き手の樋口モエさんの猫に対する愛情はむしろ甚大に思えます。
さまざまな点でそれは判断できますが、細部まで丁寧に描かれ塗られていることは誰の目にもあきらかです。
描かれた猫がかわいい。
その根底には、猫に対する深い愛情があるのではないでしょうか。
絵の底にあるべきは、愛なのではないかと、思わず考えてしまう装画でした。
もし、考えすぎだったら誰か教えてください・・・。