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『人間』
◆出版=毎日新聞出版 ◆著=又吉直樹 ◆装画=村田善子 ◆装丁=鈴木成一デザイン室
『人間』表紙イラストレーションの感想
店頭で立てて配置されたこの本の存在感。それはとりも直さず、イラストの顔の存在感です。
膨らんだ顎のライン。顔と首の位置関係。肩幅。太いまゆと小さな目・口。
衝撃的な人物画です。目立ちます。圧倒的です。セールスプロモーションという、装画のもっとも大きな目的を、おそらく高効率に実現しているでしょう。
この絵を見て、「自分にも描けそうだ」と錯覚するひともいるかもしれません。もちろん、この絵を見ながらこの絵を真似することは、比較的難しくないかもしれません。
ですが、白い紙の上に、クライアントのいる仕事で、この絵を自らの発想と責任で描くことは到底できません。
このイラストレーションを描き得た背景には、おそらく数多くの試行があったのではないでしょうか。アートの感性も要求されそうです。村田善子さんのほかのイラストワークを見ると、モノや人物を誇張的にクローズアップした作品が多いようです。
■村田善子さんサイトhttp://yoshiko123.jp/illustration
そういった数多くの制作の奥に、このような衝撃的でありながら不思議と人を惹きつけるイラストレーションが完成するのだと思います。
人の目を惹く絵はプロモーションの機能を果たし、その個性はイラストレーター としての立ち位置を確立させます。
こんなふうに絵の個性を発揮していきたいものですね。
人間
又吉直樹 毎日新聞出版 2019年10月10日
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