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Hanako 完全保存版 喫茶店に恋して。
◆装画=安西水丸
『Hanako 完全保存版 喫茶店に恋して。』表紙イラストレーションの感想
あ、すてきな絵!
そう思って雑誌を手に取って、誰の装画なのかを探すと、「安西水丸」の文字。
ぼくは安西水丸さんのことを、名前でだけしか知りませんでした。
2014年に亡くなった有名なイラストレーター。
自分が何も知らずに素敵だと思った絵が、有名なイラストレーターの描いたものだったということに、なんだか嬉しくなります。
細く作為のない線が、人の目を最初に奪うのだと思います。
ちょうどいいラフさで、見る人をリラックスさせます。ケーキの乗ったお皿の模様が、かわいらしいですね。
よく眺めていると、モノの配置が絶妙にずれていることにも気が付きます。
カップの位置は、お皿の真ん中にない。これでは一番安定するポジションじゃないかもしれない。フォークもポロリと落ちてしまいそう。
この配置は、カップとお皿とフォーク、それぞれを魅力的に見せるためのポジショニングだと思います。カップを実際の位置でさらに置けば、お皿の見える面積はすくなくなってしまう。フォークとカップが近づき、重なりが生まれる。
そうするよりも、カップとお皿とフォークの三者に、ゆるい空間を持たせたほうが、それぞれがもっとかわいらしく見えると考えたのでしょう。
影のつけ方も面白いです。
カップやケーキの接地面に影ができるのですが、カップ自体の影がカップにかかっている。カップの向こう側のお皿に写るはずの影が、手前側に来ている。このルールが面白いです。
イラストレーションの面白さは、実際には起こらないのだけれど、そう描くと実は心地よい。そういう文法を探すことにあるのかもしれませんね。
すてきな文法で統一されたイラストレーションは、安西水丸さんのそれに限らず、とても魅力的です。
さて、表紙をめくると、こんなコピーをみつけました。
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今回の表紙は、安西水丸さんを愛するHanako編集部と安西水丸事務所のみなさんとで再構成した新作です。
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喫茶店特集だけれど、安西水丸さんのご自宅を取材したページもありました。私物やイラストレーションが紹介されていて、たぶんファンの方なら垂涎なのでしょうね。
ぼくもファンになりました。