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『みかづき』
著=森絵都
装画=水谷有里
装丁=鈴木久美
建物や人物の造形は省略が入っていて、かわいらしいなあ。
地面に積もった雪は、白でなく比較的色の濃い水色で塗られています。
何も考えないと、つい記号的に白で塗りたくなってしまうところ。
人間の白目などもそうですが、「白だ」という思い込みのもと色を配置すると、すごく安っぽい絵になってしまうことが多い。
この表紙では、雪の水色と空の青に、色味のちがいをつけて境目を区別しています。
しかも、三日月が光っていたり、家々の明かりがついていることから、時間帯としては夜なんですよね。
それなのに、空は青空に近い色。
木内達朗さん装画の「下町ロケット」の表紙でも感じたけれど、こういう一見矛盾したような事象を違和感なく、むしろすてきに見せることができるのが、イラストレーションのいいところなんだと思います。