顔の正直な描線が気持ちいい。『末ながく、お幸せに』表紙イラストレーション|装画=高杉千明

末ながく、お幸せに

◆出版=小学館
◆著=あさのあつこ
◆装画=高杉千明
◆装丁=岡本歌織

『末ながく、お幸せに』表紙イラストレーションの感想

ザ・チョイスの第35回年度賞で大賞を受賞された高杉千明さん。
受賞された作品もそうですが、均一な描線と淡い色合いがとても美しいですね。

高杉千明さんの絵で魅力を感じる点は、人間の顔の造形が正直であることです。
美しく見せよう、こんな顔をさせてやろう。そういった描き手の作為を感じさせません。

小鼻のラインや上唇・下唇のラインを正直に描くことで、等身大の人物像が浮かび上がっています。

表情も、どんな感情でいるのかを徹底して想像しているのではないでしょうか。

わざとらしくない表情。
あざとさのない描線。

人間が魅力的に映し出されています。

「線」でもうひとつ注目したいのは、髪の毛やスカートの流れを表す線です。

ザ・チョイスの受賞作では、スカートのひだのラインが、折りたたまれたひざうらに巻き込まれて、折り重なっている様子が、抑制された手数の描線で表されていました。本当に見事なラインの重なりでした。

今回の表紙の絵では、髪の毛の流れが、毛束の重なりを意識しながら丁寧に描かれています。
髪の毛の線というのは、とかく描き込みたくなりがちですが、高杉さんは見る側の見やすさを意識した本数の線で描き切っています。

清々しいイラストレーションですね。

末ながく、お幸せに

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