手描きだからこその揺らぎがかわいい!『マジカルグランマ』表紙イラストレーション|装画=網中いづる

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マジカルグランマ

◆出版=朝日新聞出版社
◆著=柚木麻子
◆装画=網中いづる
◆装丁=清水恵

『マジカルグランマ』表紙イラストレーションの感想

網中いづるさんのイラストレーションは、どれを見ても、「すてき!かわいい!」と心の声が漏れます。

この表紙も、網中いづるさんらしいすてきさに溢れていますね。
このすてきさ・かわいさの正体は何なのでしょうか。

ひとつめに、顔の描き方が特徴的です。
目や口など顔のパーツそれぞれが小さく描かれています。
一般的に、かわいい顔を描くときには、大きな目や口(特に目ですね)で、表情は笑顔にするということが多いです。でも、それはいつも・誰でもが使う、記号的な表現とも言えます。

網中いづるさんの人物は、記号的でない、こびていない描かれ方が、凛としたかわいらしさにつながっています。

そして、何といってもこの手描き感。
筆のライブ感。
やわらかな筆だからこそ、偶然的な筆致とのセレンディピティが、網中いづるさんの絵にはあります。
デジタル作画はブラシの進歩によって、相当に手描き感を獲得していますが、それでも網中いづるさんの絵にあるような絶妙な揺らぎは表現できません。

緑のツタの中にも、ピンクの花びらの中にも、赤い衣服の中にも、ただのその色でない色彩の揺らぎがあります。それはほんとうにあたたかくて、見る人のこころに届く体温を持っています。

単なるデジタル対アナログの二元論にしてはいけないのですが、やはりアナログの絵は手描きならではの人に伝わる温度というものがあるのではないかと考えさせられます。

AIの進歩でデジタルが手描きのあたたかみに肉薄する日も近いとは思いつつ、しばらくは、この装画のような「人が手で描いた絵だからこそのやわらかさとあたたかさ」に浸っていたいです。

マジカルグランマ

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