この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
一膳めし屋丸九
◆出版=ハルキ文庫
◆著=中島久枝
◆装画=合田里美
◆装丁=西村真紀子
『一膳めし屋丸九』表紙イラストレーションの感想
合田里美さんの絵と言えば制服の女子学生が有名ですが、
今回の本の表紙では和装の女子が主役となっています。
それがとてもかわいい!
何がそうさせているのか・・・「色」と「表情」でしょうか。
合田さんの絵では、全体にあまり明度差がつけられず、
たとえば黒い部分も青みがかった薄いグレーで表現され、
全体に淡い色味の印象を与えます。
その淡い色味と「和」は、こんなにも相性がよかったのですね。
日本の桜は、海外で人気のある桜よりもずっと色味が薄いように、
和の価値観は「控え目」「儚げ」ということが根っこにあるのかもしれません。
合田さんのイラストレーションの色遣いは、控え目で儚げで、
それでいてとても美しいです。
そう書いていて、「桜のようなイラストレーション」という言葉が浮かびました。
桜みたいですね。
「和」と合うのです。
人物の顔も、いつもの物憂げさ・哀愁のある表情とは異なるものの、
特徴的な目や唇の描き方は健在です。
こうして見ると、目や唇の造形に、日本画との共通点を見出すこともできます。
各パーツを小さ目に主張せず描く描き方は、
その造形自体も、そしてそこにある控え目な姿勢も、
日本的であると言えるのかもしれないですね。
あと細かいことなのですが、カゴに乗った野菜たちに、
髪の毛の表現で使われる白いかすれた線が応用されていて、
静物描写としてのかわいらしさと、絵全体の統一感につながっているのかなと思います。
ずっと見ていられる・・・!
ところで、合田さんの代名詞である女学生のイラストレーションを
当サイトではまだ紹介できていなかった気がするので、
ご覧になったことがない方に向けて、近々記事にしたいと思います。