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ラジオラジオラジオ！
◆出版＝河出文庫
◆著＝加藤千恵
◆装画＝オザワミカ
◆装丁＝川名潤
『ラジオラジオラジオ！』装画イラストレーションの感想
めちゃめちゃ素敵な線画。
すごいカッコイイんです。
オザワミカさんの描く人物には、顔の造形や表情にすごい個性を出しているわけではないのに、「オザワミカさんの絵だ！」とすぐにわかります。それはなぜ？
ひとつには、まず「線画である」ということ。
本の装画や街にあふれるイラストレーションを眺めていると、意外と線画が多くないことに気が付きます。
そして、線画で表現された絵の多くは、マンガ調・アニメ調のもの。
もちろんそれにはそれの魅力があって個人的にも大好きなのですが、数も多い分、絵柄での差別化が必要になります。
オザワミカさんの絵は、マンガでもアニメでもなく、イラストレーションとしては流行りの「線画なしベタ塗り」でもない、シンプルな線画。
ほとんど線画のみでイラストレーションを描くこと自体が、目立つ要素のひとつです。
でもそれだけでは、オザワミカさんの絵が個性的であることの説明には足りません。
絵を個性化させているのは、線の省略の絶妙さではないでしょうか。
服のしわを見てみてください。
必要以上にくわしく描き込まれていない。
でも全く描かないわけでもない。
大きく目立つしわのアウトラインを、できるだけシンプルに描いています。
このようなシンプライズの加減が、オザワミカさんの絵をすごーくカッコよくしています。
線を断捨離したミニマルなイラストレーション。
ことばで言うのは簡単なようですが、断捨離の加減こそが難しく、習得に時間のかかるところではないかと思います。
逆に言うと、省略の仕方に個性を出せるようになると、必要最低限の修練を積めたともいえるのかもしれません。
・・・わかりませんが。
