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どんまい
◆出版=講談社
◆著=重松清
◆装画=根木悟
◆装丁=鈴木誠一デザイン室
『どんまい』装画イラストレーションの感想
たしか鈴木誠一装丁イラストレーション塾で最優秀賞を取ったイラストレーションです。
画材は何でしょうか。クレヨン・・・?独特なタッチで描かれてた個性的な絵柄です。
人物の顔の描き方としては、造形に個性がつよく出ていて、わずかに好みが分かれるところかもしれません。マユゲや鼻の穴などをしっかりと描くことで、いわゆる「濃い顔」という印象になっているのかもしれません。
しかしそれだけに、見る人の印象に残ります。
正面を向いた顔であるということも、本の表紙として「目が合う」感じがして、セールスプロモーション用としては大変に機能的だと言えそうです。正面を向いた人の顔という構図は、それ自体は珍しいものではないので、やはりタッチや表情・造形の独特さでもって印象を強めるということになるのですね。
機能という面ではもうひとつ。この小説は野球のお話だそうで、「一目で何の話かわかる」ということと、「記号的でない」ということが両立されている点も学ぶべきかなと思いました。
野球の話であることを伝えようとするときに、バットやボール、ボールを投げるポーズなどでそれを表現することはよくあるのですが、これだけアップに人の顔を配置しながら野球の話と理解させるのはかなり難しいことだったと思います。
ユニフォームをもってその課題を解決しているということ、アイデアの引き出しにしまっておきたいです。
本の背表紙などには、別の人物の同じ構図のイラストレーションが配置されています。
ぜひ店頭で手に取ってみてみてください。