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きよしこ
◆出版=新潮文庫
◆著=重松清
◆装画=木内達朗
◆デザイン=新潮社装幀室
『きよしこ』表紙のイラストレーション感想
帽子を目深にかぶった少年のイラストレーション。
目を描かなくても、なんとなく少年の表情が伝わってくるのがすごい・・・。
口のラインがひとつのポイントとなるのでしょうか。
きゅっと結んだような口。不満や自信のなさを表しているような。
もしかしたら、涙をがまんしているのかもしれない。周囲の人と目が合いたくないのかもしれない。
その心情はわかりそうでいて、ブレストすれば無数に想像がふくらみそうな、そんな表情の描き方。
目を隠すことに、こんな効果があったのだと思い知ります。
線はクレヨンのような筆致。シンプルですてきな描線です。こんな率直なラインをぼくも引いてみたいものです。長い修行の末なのでしょうね。
木内先生はすべてデジタルでの作画とのことですが、ブルーの背景にちらばった白いかすれや少年のほっぺの赤身のところなど、ざらりとした手触りのある塗り方で、人のあたたかみを感じさせます。
一目で木内達朗さんの絵だとわかる、すてきでシンプルで魅力的な人物イラストレーションです。
(2019年8月20日追記)木内達朗さんの作品集が出版されました!
素晴らしい密度と量、そしてクオリティを持った作品集です。
『きよしこ』のイラストレーションも収録されています!
下記リンクにてレビューしましたので、ご一読ください。