『切なくそして幸せな、タピオカの夢』表紙|装画=soupy tang

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切なくそして幸せな、タピオカの夢

◆出版=幻冬舎

◆著=吉本ばなな

◆装画=soupy tang

 

『切なくそして幸せな、タピオカの夢』表紙イラストレーションの感想

 

すごくいいな、すごくいいですね。

色の塗り方が、カワイイ。

ムラを残した塗りは、絵のかわいらしさと親しみにつながっています。

電気に照らされて、壁にかすかなピンク色が差しているのもかわいいですね。

あと、各々のモノの造形もかわいい。

モノと空間の境目となる線が、まっすぐでないのがかわいい。

あえて歪んで描かれた線は、画面から緊張感を取り除く効果があると思います。

部屋の天井からつるされた電球を見てください。

電球をつるす紐は、実際的には重力に引っ張られた電球と天井との仲を保つべく、ぴんとまっすぐに伸びるはずなのです。ところが、この絵の紐は、ゆるりとたゆんですら見えます。まるで、そこにある重力の影響は、私たちが過ごすこの世界とルールが違うかのよう。

「落ちてくるかもしれない」という緊張感の、ない世界観。

ゆるい描線は、そんなふうにして見る人を適切に脱力させ、安心させ、親しませるのだなあと感じるとっても素敵なイラストレーションでした。

 

 

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