重なりと流れを表現する、丁寧な線がすてき。『1分音読「万葉集」』|装画=高杉千明

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1分音読「万葉集」

◆出版=ダイヤモンド社
◆著=齋藤孝
◆装画=高杉千明
◆装丁=金井久幸

『1分音読「万葉集」』装画イラストレーションについて

同時期に本屋さんの書棚に並んでいた高杉千明さんの装画の中でも、高杉千明さんの絵柄のすてきさがもっとも存分に出た絵ではないかと感じます。

そう感じるのには、ザ・チョイス年度賞(2017年)を受賞した作品を見たことがあるからかもしれません。

ザ・チョイス年度賞 2017年発表ページ

どちらも女子学生がモチーフとなっています。
ただそれだけのことなのですけど、受賞作品と同じモチーフ・同じ筆致で描かれていることは偶然ではなく、受賞作品を見たデザイナーが、それをベースに依頼をしたのではないかな、と想像させます。

どちらの作品でも、「線」がとても気持ちいいなと感じます。
髪の毛の流れを自然に表した線。
スカートのプリーツの折れと重なりを絶妙に表した、直線と曲線の中間のような線。

リアルな絵柄を破壊しない程度に省略され、量的な意味で絞られた描線が、気持ちよくモチーフの表面を流れていきます。

基本的に線画をベースにしているのですが、肌の線は肌色、スカートの線は濃紺というように、線の色も使い分けられている点も面白いですね。

線画ひとつとっても、工夫や個性を出す余白が、こんなにあるのだと気づかされる、見入ってしまう絵です。


1分音読「万葉集」

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