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スコーレNo.4
◆出版=光文社文庫
◆著=宮下奈都
◆装画=日端奈奈子
◆装丁=盛川和洋
『スコーレNo.4』表紙イラストレーションの感想
最初にやっぱり、「タッチ」が目に留まります。
絵画に詳しいわけではありませんが、モネとかの印象派の絵を思わせる色遣い・筆遣い。
線の境界がボケていることであったりで、そういう印象を生んでいるのでしょう。
髪などに青色が入るのも面白いです。個人的に、写真的ではない色(非現実の色)が、絵のなかに自然に溶け込んでいる表現はとても心地よく感じます。
ワンピース?も、ベースは青なのだけど、そこにピンクのような色が薄くまざって、ところどころ紫のような色合いを発している。この絵は手描きかなと思うのですが、ベタ塗りの方向性はなかなかデジタルの得意領域であるので、この表紙の絵のように筆の偶発性を生かした色のセレンディピティを目指すほうが、アナログのよさを発揮しやすいように思いました。
(ただ、手描きのキレ―なベタ塗りは、それだけで心を持ってかれるという経験もあるんだよなー・・・)
あと、なんといっても顔。表情。
人物のイラストレーションはやっぱり顔が肝になります。
この絵では、あえてつよい表情をつけずに、人物の、悩んでいるのか物思いをするような様子を表現しています。
それでいながら、体はほんのすこし前傾。
日常のあれこれを思いながら、人生を前へ進めようとするような・・・決意めいた表情でもあります。
全体的にやさしくて大きなタッチの筆遣いのなか、目・鼻・口のあたりだけは克明に寄った描き方になっています。きちんと人物の表情を描きたいときには、こういうやり方があるのですね。
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